過去ログ開帳〜iPS細胞研究からみる日本の課題

 昨日に引き続いて2012年山中教授ノーベル賞受賞において考えたことの過去ログです。このあたりは実際問題、5年以上過ぎてもなおまだ当時と変わっていないのが小保方事件やら先日の山中教授の謝罪問題からも見えています。…とすると5年後の未来は…

 

ではでは今日はこんな時間なのでこのあたりでw

 

(2012年秋のはず)

お疲れ様です。今日は短かくまとめたいと思います。
 昨日、山中教授のノーベル医学生理学賞受賞の日記を書きましたが、これから先のiPS細胞の発展はどうなるのでしょうか。
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 山中教授の研究に対しての評価が高いのは当然として、その周囲に対してのインタビューがまだ少ないかと感じました。
 山中教授の紆余曲折についてはテレビ・新聞メディア各社取り上げられていましたが、山中教授が会見の中で日の丸同様に並べて、謝辞を表明した「チーム山中」について、あまり詳しく取りあげたメディアがなかったようでした。
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 研究・開発・発明に特許はつきものです。特許が誰のものになるのかでその後の研究の速度や研究者のやる気、そして何よりその後の研究にかかる費用が変わってきます。特に現在権利大国であるアメリカについては契約が国の礎の概念として厳然と存在している国なので、契約・特許については非常に厳しく、弁護士などの法曹関係者も多い。アップル-サムスン間の特許訴訟なども記憶に新しいかと思いますが、とにかく何でも権利と裁判。それで多くの人たちが生きている国であり、研究チームではないにしても、研究所付きの弁護士というのがいるというのをどこかで読んだことがあります。
 そんな世界において、山中教授が世界を飛び回るのをサポートする、知的財産の管理関係で何かやっている方が必ずいらっしゃると思います。その人たちにまずは話を聞いてみたいです。また、山中教授が名前を挙げた高橋講師以外の共同研究者の方たちについても聞いてみたいなと感じています。感じ方・課題などはそれぞれあると思いますし、それぞれの中の山中教授はどのような人なのか。それがもっとしりたい。
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 山中教授は京大iPS研究所(http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/index.html)にて所長を勤めているとのことですが、はたしてここは財政が足りているのかということについてももっとメディアは深く掘り下げてみてほしいのです。
 例えば、この研究所、現在も人材募集の案内が掲載されるほどです。どの研究室も人がいない、そしてお金もないのがわかります。研究員募集要項においては900~1300円での契約研究員だし、事務方にしても英語ができて、法律にも通じていることが条件なのに提示される年棒が360万円…。ノーベル賞受賞ではずみはつくだろうけどそれにしても今の今まで国として何をしているんだレベルの帝国大学の研究機関の実態が垣間見られます。
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 iPS細胞は山中教授の功績もあり、今のところ日本が研究ではリードしているかのように見えますし、メディアもそのように報道しています。今回の受賞で盛り上がり、高校三年生は進路希望に生物学・遺伝子工学などと書いちゃう子が増えるんじゃないかとも感じます。(これまではキムタクにあやかって法学部進学が増えたり、心理学関係への進学がブームになったレベルで。)
 しかし、その実態は、結局のところ研究員は契約研究員であり、せいぜいバイト程度の給料しか支払われない、同じグループの教授がノーベル賞をとってもマスコミもとりあげてくれない。
 …これって将来本当に大丈夫な状態?
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 畑違いながら、国として科学技術の増進を政策として取り上げるのであれば、もっと研究者たちに開発しやすい環境と給料をあげてもらわないとこれ以上の発展は難しいかと感じています。
また、大学についても同様です。名誉ではなく、実際の収入に結び付ける動きをもっと取る必要があり、例えばiPS特許に強い人材を育成する、経済学部などにiPS細胞を市場としてとらえさせて分析させるなど、もっと支援を行える力はあるはずなのです。
 そして、これは研究者だけに限った話ではなく、医療(看護)・介護・教育などの分野においても専門職はいるものの低収入にしかならず、ハードワークを強いられる人たちがどれほどいるのか、そして夢破れてその職を離れてしまう人たちがどれだけいるのか。メディアはこういったことを伝える必要があるかと思います。そして、当然国は、国民はしっかり知って、なおかつ今回の受賞を喜ぶべきだと感じます。このままではチーム山中が不憫でならないのです。
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 10年後の日本のiPS細胞技術はどうなっているのでしょうか。
 インターネットテクノロジーと同様に日進月歩の中で、勝ち残ることができるのか。勝ち残るためにはどうしたらよいのか。
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 文系の私には問題提起くらいしかできないかなと思いながら、こんなことを書いてみました。ちっとも短くないですが、そんな感じです。ではでは。