山崎豊子『二つの祖国』とパトリシアコーンウェルと〜過去ログ開帳

ゴールデンウィークにまったりと漫画を読んで過ごしていたら、ふと『二つの祖国』思い出したので過去ログ開帳します。結局私は【異文化に闘う人たち】がすごく好きなんだろうなあ。←私自身根性なしな人間なので、憧れが強いんだと思う。また今読んでる漫画もまとめたいなあ。

 

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  縁あって山崎豊子の『二つの祖国』読んでいます。   

 文庫でまだ200ページ程度しか読んでいませんが、圧倒されっぱなしです。    

 

  先にイサム・ノグチの伝記本を読んでいたので、戦時中のアメリカにおける日本人収容所の収監がどういう状況のものだったのか気軽に読みたいなと思い、山崎豊子なら面白いだろうと読み始めたのですが、もう、別にまだ誰が死んでるわけでもないけどダウナー↓↓主人公の父親がこれ、もう、せつないんですよ、ネタバレしたくないので言いたくないのですが。  

  で。読み始めたところに、家人がきて、『ああ、それ昔大河でやってたよね。主人公二人で同じ日系二世の設定だけど真逆の生き方をしてて…原作は知らないけどエンディングが結構暗かった気がするなー』とかなんとか残して行ったので、ドラマの配役誰だったんだろうと調べてしまったのが間違いでした…    

 久々に目から火花が散るような衝撃のネタばれが…うわーん、この結末は知りたくなかったよぅ。    

  と、いうこの切なさを拡散しようとネタバレしやがったwikiを載せて見る。(ちなみに原作を読まずにこれだけ読んでも全然面白くないですよ。)

  http://ja.wikipedia.org/wiki/山河燃ゆ    

 

ちなみに主人公・天羽賢治松本幸四郎、チャーリー田宮を沢田研二が演じたようです。この情報だけが知りたかったのに、まさかあれが絡むとは…そんな気配もない世界なのに、と思いながら確かにそのネタバレを知ってから読むともうすでに確かにものすごい伏線が出てるのよ、さりげなく。これには感服しました。    

 

  すでに読み終えられた方からはあんなん伏線でもなんでもないよという方もいらっしゃるかもしれませんが、だいぶどっぷり世界にはまってるとそのリアル社会では当たり前の結末が物語の中では見えないのです。

 

  真珠湾攻撃がはじまった、日系人収容所での先の見えない生活、アメリカへの忠誠心の揺らぎ、日本に対する郷愁、そういった世界観を非常に骨太に描いているので、もうそのことで頭がいっぱいになったときに、あの現実を見せられたら、そら、ちょっとすごい衝撃です。たった200ページでそれだけ読者の世界を変えてしまうというのは本当に素晴らしいなと感じています。  

   山崎豊子の経歴が新聞記者あがりというのがこれだけ骨太な作品を描けた肝なんだろうなと感じると同時に、同じく女性ながら非常に素晴らしい世界を作っていたパトリシア・コーンウェルも新聞記者あがりだったなということを思い出しながら読んでいます。

  

   パトリシアコーンウェルの検死官シリーズは本当に当時は夢中になって読みました。といっても最近はいい加減内容にボリュームがないので手を出すのをやめましたが。    今や新聞記者って女性にとっては別に特別でもなんでもないご時世ですが、かつてはこのレベルのタフさがなければやっていけなかったのかもしれないなとか思ってしみじみする一方、本当にこういう良い本に出会えて神様ありがとう!と相当なテンションでひとり盛り上がっています。    そんなわけで、もしも興味をもったら、ぜひぜひ読んでみてください。  

二つの祖国〈上〉 (新潮文庫)

二つの祖国〈上〉 (新潮文庫)

     

 

  パトリシアコーンウェルの検死官シリーズ記念すべき一作目です。(実は私は誤って二作目から読み始めました…二作目を読んでから一作目でもこのころは登場人物の過去を辿るような面白さがあってオススメできます。そういえば最近表紙のデザインが変わりましたね。昔のデザインがミステリアスですきでした&翻訳は相原真理子さんで近年まで続いていましたが、途中から訳者が変わったので調べたところ、若くして亡くなられたそうです。非常に優れた翻訳だと海外在住の友人からも評価されていたので残念でしたがこればかりはどうしようもないことですし、また多分亡くなられたご本人もいろいろ思うことがあっただろうことを思うとその点でもしみじみと考えてしまいます。

  

検屍官 (講談社文庫)

検屍官 (講談社文庫)