津田雅美『ヒノコ』が大変面白かったので、ネタバレ含みラストを脳内補完してみる。

 こんばんわ、ura_love_JPNです。

ヒノコ 8 (花とゆめCOMICS)

ヒノコ 8 (花とゆめCOMICS)

 

 『ヒノコ』を白泉社の無料コミックアプリで読んでいたのですが、面白かった。ラストがものすごく評判が悪かったので、どんなものかや、と不安だったのですが、私にはラストも含め、大変に面白かった。というか、ものすごく丁寧に作品を作られてる作家さんなんだと嬉しくなりました。

 

物語としては神話の時代に恐れられていた女神・ヒノメが古代(…の設定である作中現代)に生まれ変わって出現した。自分に宿る女神の力を悪用され、生きることを疎んでいた主人公の少女・マユラはあるときある山賊かぶれの男の子・シンに出会った。彼は女神の力を畏れることなく対等に向かい、処世術を教え、自身も女神の力の源である字を学び、助け合って旅をする。その中で、主人公である女神の生まれ変わりのに災いが降りかかると女神の力が暴走することに彼女は嫌気がさし、過去と対峙し、女神の力を封印することを願うようになる。そして、共に旅をした最愛の彼にも自分の力が暴走することで危険な目に合わせることを嫌った主人公は男の子に自分のことを忘れる呪いをかける。

主人公を忘れた少年は自分が忘れたことがあることを厭い、自分の過去を調べる。そして調べるうちに神話の時代の女神にも深く興味を持ち、主人公に強く惹かれる。

主人公は男の子との旅の末に出会った協力者たち(赤承というクニの妹姫アイシャ、王様)と交流を深め、クニの(女)王や王の最愛の皇子とつながることができた。

物語が進むにつれ、女神やクニの成り立ちが見え隠れし始め、主人公のチカラの行く末はどうなるか…というのが内容でした。

 

語りたいのは終幕、最終回!わかりにくいと評判ですが、私は結構わかったので書きたいなぁと。

 

終幕、失読症の男の正体がわかる。かつてマユラに字を教えた、マユラに消された男の、弟。

マユラは消してしまった人のことを思い、自分の犯した罪にパニックになり、暴走しそうになり、身を投げる。シンは追いかけて飛び降りる中、師と慕う文官アズサヒコからマユラの腕を切り落とすことを命ぜられる。

 …が、シンはマユラの手を切らなかった。神話のオビトアギは女神ヒノメを斬ったが、生まれ変わりのマユラとオビトアギと同じ漢字で護られたシンは違う結論を導こうとする。

これは、シンがマユラと別れた時にクランドから学びチカラをつけろと言われていたことで誰かの言うなりにはならない、自分で考えた結果、斬らないことを判断したからだと思う。自分が斬らなくてならない理由は何もない、という論理を優先した。

これ、いいなぁと。シンは斬りたくないんですよ、マユラのことがマユラの不思議な手を含め好きだから。で、漢字があるじゃん、って。3,000年培われた字が、知が教えてくれるんだよ、と導いてくれる。これはものすごくかっこいいなぁとw

そこでヒノメマユラも考える。ヒノコを蘇らせる。

最終話で、<古代の女神ヒノコが蘇った>。これはアイシャさん(赤承のお姫様、踊りの巫女、皇子の許嫁)が<7年祭>同様依り代となり、呼び出している。正しくは、アイシャさんという依り代と、マユラがいて成り立つこと。

で。マユラはそこで何をしたかといえば、目と口と手をヒノメ=アイシャに渡す。(アイシャの体の)ヒノメはオビトアギが入った皇子様を呼び出し、ヒノメとオビトアギ、アイシャと皇子様が結ばれる。このクニの王都の名前「嘏」ということだったが、遠い未来で、幸せになるという約束が果たされる。

そこでマユラは最後、願っていたことが叶い、普通の少女に戻る一コマがある。(今コマ読みして気づいた)そして、ヒノメから発動される一言。

 

後日談。歴史の一部を忘れた人々は、それでも日常を過ごしていた。以前と変わらない、幸せの一コマが続く。幸せになるようにだれかが取り計らっているかのように巡り合わせが繰り返される。そして、主人公のマユラとシンが再び出会って、完結。

 

…大団円を迎えたわけですが、最終回、わからないことがいっぱいありました。

 初見で読んだとき、なぜマユラに消された男の弟がマユラと兄のことを覚えているのか不思議でした。あれ?記憶消えてないのはなんで?と。 

 よくよく考えれば、オビトアギと同様の失読症で、ヒノコ・ヒノメのチカラが効かない、ということでした。

ここから、巷の最終回批評に沿うんだけど、最終回にやっぱりものすごく情報が多くて、なかなかすべての設定が読者には思い出せない。作者は描き切ったんだと思うし、風呂敷も畳めているんだけど、説明されていない部分が多いのも事実で、そういうのはちょっと妄想が必要な作品でした。

例えば、上はクリアしたんだけど、もう一つ疑問として抱えたのが100歳を超えるのに少女のように若い大巫女様。ラストの世界では年齢相応のお姿に変わっており、これ、わからないんですよね。

妄想で補完して私は神話の世界から引き継がれた欠点・特徴が失われた、と読みました。主人公マユラの手も失われたのと同様に他の人の神話の特徴も失われたんだろうと。

描かれなかったけど、大巫女様もヒノコの血縁で、だから年をとらなかったんだと思います。(ヒノコが年をとらないシークエンスは作中にあり。)

私の使うアプリ・マンガParkでみかけた【術がかからない唯一の人物が語り部になり引き継ぐ…という結末がよかった】とコメントについては、その術がかからない唯一の人物、<失読症の弟>に関しても、大巫女様が年を召したと同様あるいは失読症が回復しているかもしれないな、と思うのです。かなり苦労して字を学ぼうとしていたので、やはりここは回復しているのが幸せじゃないかと。

ただ、最終回では「読めないことが幸せというのもあるかも…」ということも言っていたので、失読症が失われなかったならそういうラストもあったかもしれない。そこは妄想力で各自補完をしていけばいいwマユラとシンも三度目の出会いで、やっとフツーに結ばれるんだろうことを考えると大団円という言葉がふさわしいので大変嬉しい。しかも未来の幸福を幸せ神が約束するという呪いがかかっているわけなので、本当にみんな幸せになってねーと願っています。

さて、途中から下書き更新忘れて酷い目にあいましたが、まあ、私も納得いくまで書けたので、このくらいでいいやwていうかこれ、AneLaLaという雑誌に載っていたようですが、結構新しい雑誌で注目していた中、紙雑誌は休刊になって、電子書籍でのみの発行に変わってたらしく知らんかったのでw 好きな作家さんもここで描いてたし、思わずググったよwwそういう形態も今はあるんだねー。電子書籍、本当に主流だねー。その割に紙書籍もやたら乱発してるけど、大丈夫かねー。ま、それはまた別の話。

さあ、明日からまたいつものように少しこのマンガを復習しつつ、また何か面白いマンガを探す旅に出ます。そろそろ寝ます。楽しい週末でした。

ではでは、いい夢見ます。皆さんもいい夢を。おやすみなさいー。