子どもに英語教育を学ばせる親に読んで欲しい本

こんばんは、ura_love_JPNです。いろんなことがうまくいかない長い長い、お休み期間ではありますが、そんなこと言ったって仕事も子どもも待ってくれないし、今回のこの本も図書館の貸出期限もあるので書いちゃう。

私自身、英語にはコンプレックスがあります。一般的な人よりはちょっとマシなレベルだけど、仕事に使えるかと言うと不安なレベル。イギリスに行ったと伝えると話せるんでしょ?いいなあ、と羨ましがられることもあるけど、なんとも複雑な気持ちになる。そんな私は小学校3年生で【親から勧められて】英語を習い始め、小学生5年生で英検4級まで受かり、中学1年で英検3級と順調に『それなりに英語ができる』学生時代だった。ただ、いろいろあって今やフツーの人となっている。今も時々英語を読んだり見聞きしたり口を動かしたりして訓練を続けてる(…つもりはある…)けど、あまり特筆すべきことがない状態。

今の早期英語教育熱には私のような人間はあまり想定されていないのがずっと気になっていました。そして、それでも私は私なりに英語について学んだり考えたり、見聞きしてきた答えみたいな考えがこの本にはたくさんありました。

子どもの英語にどう向き合うか (NHK出版新書 562)

子どもの英語にどう向き合うか (NHK出版新書 562)

 

 著者の鳥飼玖美子先生は、アポロ11号着陸時に若くして同時通訳をしてひっぱりだこの人気通訳者になった方で、大学教員となる傍ら、出版元であるNHKでの講師歴も長く、直近では(2016年ごろ終了してしまったものの)『ニュースで英会話』という番組に出演されており、私も大変お世話になっていました。お年を召していらっしゃいますが、可愛らしいイメージ。

 鳥飼玖美子先生(以後、面倒臭いので鳥飼先生や鳥飼玖美子氏になるかも)は、小学校での英語教育導入の話題が出た当初から小学校での英語教育の導入に批判的でした。この本にも登場しますが、論旨としては早期に英語を学ばせても【適切な教育】が行われない場合、英語嫌いな子が増えたり、ペラペラと話すだけの子ども英語で満足してオトナの英語が話せない人間になる可能性も高いということを過去の著書から述べています。また、この【適切な教育】は例えば英語音声学や文化背景を理解していなければ難しく、中学校英語の教員も、小学校での教育まで理解している専門家は少ないため、小学校での英語教育には英語教育の専門家ではないことの弊害が多くなる可能性が示唆されています。

具体的には帰国子女でも現地言語はじめ、英語が話せない子どもたちがいたり、英語がペラペラに聞こえても具体的な論述になると詰まってしまう子が現れているなどの事件(?)が盛り込まれていました。

私も帰国子女なのかインターナショナルスクールなどで英語漬けだったためか見た目は日本人で英語はペラペラ流れるのに、日本語はカタコトの不思議なアクセントになってしまった若い子を見かけたことがあります。またアジアからの帰国子女が話せるんだけど英文法が理解できていないという子にも会ったことがあります。

 私の過去を振り返れば小学校から英語を習っており、そのときはそれなりに高いレベルで学んでいたものの、慢心し始めたり、個人的な問題から高いレベルの英語を目指し始めたとき、意欲がなくなり、英語ができなくなりました。親から勧められたから始めただけなのに、って反抗してみたり、努力しなかった散々な結果を受け入れられなかったり。ただその後社会人になってからやはり勉強してみようかとダラダラ続けてるのですが、やっぱりあの高校時代、大学時代に死ぬ気でやるべきだったと後悔しています。後悔先に立たずですが、わたしにはそのくらいのペースでもよかったという気もしなくもないし、イギリスに滞在した時に英語以外にもいろいろ学ぶことができたのでそこには後悔はない。

論旨としてはこれまでの鳥飼先生の著作と同じですが、この本には鳥飼先生自身の英語嫌いになりかけた分岐点や英語に目覚めた転換点と、その後の行動力(努力)について触れられており、身近に感じられて読みやすかったです。どんなにすごい人にも挫折への道は隠されていて、子どもに挫折の道を選ばせないために親ができることを考えさせるいいトピックでした。

また、英語教育の歴史についても一章構えてしっかりと描かれているのが特に良かった。本当に面白い。

英語教育の歴史の章についてはNHK出版で別にまとめられた本の総括ということですが、この一章があることでいかに長く日本人が英語教育に悩み、英語学習者(長崎通詞たち)が乗り越えてきていたのかが理解できるし、英語の力をつけるために血もにじむような訓練が必要だというのがわかり、そしてそのためには本人の意欲が絶対に必要だということが読み取れる一章でした。

そして全篇通じて英語学習で大事な『意欲』について考えられるようになっており、その意欲について考える際に発達心理学の第一人者・内田伸子氏の【共有型しつけ】にスポットライトが当たったのも、胸熱でした。

【共有型しつけ】についてはtopisyuさんのこちらの投稿に詳しく、以前から学ばせていただいており、共有型しつけで万能感を得た子どもたちはこれまでの英語教育でも、うまくいくだろうし、焦って早期英語教育に走らずとも中学校から理解していけば大丈夫だよ、という鳥飼先生の強いメッセージに結びついていてわかりやすかった。

topisyu.hatenablog.com

 

 そんなわけで、今回はいつもの英語学の一側面だけでなく、発達心理学や、歴史からも(早期)英語教育を考えることができ、判断材料も格段に増えていて非常に早期英語教育を考えるによい本だと感じたので紹介です。

あ、そう、あとこの本は日本語教育にも触れています。というか結構早い章で母語の発達が英語力向上につながる可能性を提示しており(カミンズ『二言語相互依存説』)、母語(今回は日本語)を高いレベルで理解することができると、言語の客観化ができるため、他言語を理解するのも早くなる、ということがあるのではないかという説のようです。私も大人になってありそうだなと思ったのですが、英語がある程度読めるとなんとなくフランス語くらいならなんとなく文法がわかる気がしてきた。というかもちろんそれも一年くらい勉強したといえばしたから当たり前なんだけど、メタ言語能力なり言語力の土台ができているんだと思えたりもする。その点は大人の英語学習にも望みがあるよね。

なんだかまとまりがなくなってきたので最後に。

今回、鳥飼先生について調べていたら、2ちゃんねる創設者のひろゆきとの対談ログが残っており、鳥飼先生もひろゆきもいつものテンションで大変面白かったのでこちらも紹介。鳥飼先生の主張もラフに読めるのでこちらもオススメ。※なお、私、元になった動画は見れていません。鳥飼先生は真面目すぎるところがとっつきにくいからひろゆきくらいペース乱す人と対談する方が素が出て好感が持てる(超私感)

logmi.jp

2020年の教育改革も政界と財界の金儲けのためだったことが見え隠れする中、英語は言わずもがな受験や就職の雑音を気にせず大人も子どももみんなが学び続けられることができることが将来の日本の発展につながるといいなーと思ったり。

ではおやすみなさいー。