過去ログ開帳〜アニメ映画『パーフェクトブルー』と『ブラックスワン』

 こんばんわ、こんな夜更けにura_love_JPNです。子どもが喉が渇いたようで水を飲ませていたらこぼしてしまい、パジャマを替えさせたりしていたら、目が冴えました。。もうすぐまた寝ますが、こっそり投稿しておきます。

  昨日からはてな映画グループに投稿を始めたところ、ちょっと他の方の投稿が面白くて読み漁ってしまい、過去ログもつい映画関係を引っ張り出してしまいました。そんなわけで悪い夢を見ないようにしつつwおやすみなさいませー。

ーーー

なんて今更な感じのあるネタですが、『パーフェクトブルー』ものすごい気になってたのです。で、先日DVDを借りてきた『ブラックスワン』とものすごく似てるとか評価をみかけ、これはいよいよ見なくては!と無駄に張り切り、こちらも借りてきてしまいました。

  ところでこの『パーフェクトブルー』、私どこで間違えたのかわかりませんが、宮部みゆきの『パーフェクト・ブルー』をベースにしたアニメと二十年来(あ、15年来か?)信じていました。しかも今回のアニメ映画のほうを見逃したあとに宮部みゆきの作品を読んで、「なんか違うんじゃないか…?(宮部みゆき作品では野球少年たちと犬と女性探偵の健全なお話し)」と思いながらも、アニメ映画は非常にオリジナリティ溢れた改変があるとどこかで読んだこともあり、この野球少年の性別を変えて、ファンをストーカーにすると映画に…?とずっと妄想して納得していました。今回、改めて調べていたら、wikiに別物ですと書いてあったので、そこでやっと辻褄が会いました。wikiさんには前回からいろいろなことを教えられています。

パーフェクト・ブルー (創元推理文庫)

パーフェクト・ブルー (創元推理文庫)

   以下、簡単なあらすじです。

   売れないアイドルグループの一員である清純派アイドル歌手の主人公が、アイドル歌手に見切りをつけ、女優に転身することを決めたところから物語が始まります。これは自分の考えもさることながら、売れない事務所の事情というのも多分に絡んだ決断であり、なんとか出演の決まったドラマでの登場を増やすために、レイプシーンを受け入れなければいけないというあたりから主人公が葛藤を始めます。と同時に、女優に転身したことを受け入れることができないファンからの暴力的なストーカー行為やインターネットファンサイトの悪質ななりすまし書き込み、主人公が演じるドラマ(劇中劇)とのシンクロニシティが増長するなかで物語は過激さを増し、主人公を取り巻く人間たちが次々と殺される事件が発生して、主人公はアイドル時代をひきづる別人格の自分が犯人ではないかと思い込んで行く…というのが筋。

  1998年当時は結構サイコサスペンスってのが流行ってた時期というのもあって、私は個人的にみたいなと思っていたのですが、何しろアニメだし、ドラマの中だとしてもレイプシーンとかR-15指定とかハードル高いなと感じスルーしましたが、もういい大人だしwチェックして見ましたが、アニメの枠を超えるようなよい映画でした。

  冒頭でアイドルグループがデパートの戦隊もののショーのあとでピンクのひらひらのドレスをきて踊り歌うシーンとかものすごい今みるとチープで当時のアニメという雰囲気ですが、話が進んで、主人公が真顔で別人格の笑顔を絶やさないアイドル姿の自分と鏡を通じて会話したり、別人格を追跡したり、あるいは夢と現実が混同されてくることを表すためにカットを少しずつ切って、合間に自室で同じように目覚めるシーンを繰り返したりするあたり、ものすごく斬新で、今でこそ見かけるような表現でも当時のアニメでこういう描き方した作品ってあったかなと感じました。で、確かにこういうのブラックスワンに使われてる表現だよねと思ってみていました。

  手を広げた主人公の背中をクローズアップで写し、徐々に主人公から引いたカメラワークで主人公を照らす真っ白なまばゆい光を描くシーンとかたしかにブラックスワンのラストにもあったし、自分の内面と向き合い、その切り替えのまずさが葛藤につながり、悲劇につながるという点などでも結構近いレベルだなっと。

  ただ、私はやっぱりブラックスワンよりパーフェクトブルーのほうが好きです。ネタバレすれば、ブラックスワンって、誰も死なない代わりに主人公がもがき苦しんだ挙句、救われない。パーフェクトブルーは主人公以外みんな死んだり不幸だけど少なくとも主人公だけは救われる。単純にそれぞれの結末が私の好みにあってるかというだけですが、その点が一番大きいです。

   映画って、基本的に観客は主人公の視点に立たざるを得ないところがあって、もちろん監督の視点や他の人間からの視点はあるけど、それはあくまで主人公の目を通したのちわかる視点だと思うし、ブラックスワンはその観客の視点を弄ぶように救いのない話を作ってる。オチがないどころか、落ち続けて救いがない。これを見終わったあと、部分評価はよくても、あの結末をよしという人は少ないんじゃないのかなとか思ったりするのです。たしかにあれだけ気持ちの悪い作品を作れるセンスはすごいと思うけど、そういう自己満足的な度合いが強いなと感じて、好きになれませんでした。

  その点でパーフェクトブルーは終わり良ければすべて良しみたいなところがあって、部分部分にすごいところがあって、でもきちんとオチがあるドラマでそれが好ましかったです。アニメだから余計いろんな表現もオブラートで包まれてて、かつその一方で過激なまでにリアリスティックで、よい味が出てるなと。結末で行けば後日談できれいにまとめるのって、私として予定調和で好きです。これだけでもきちんとセンスが問われるし。監督インタビューでもあったけど、実写のオファーがくるくらい、きちんとしたカメラワークやセンスが光るアニメでした。

  あと特筆すべきはこのパーフェクトブルーの監督の次の作品がまたものすごく外国からの評価が高いので、またチェックしたいなと思っています。

パプリカ [DVD]

パプリカ [DVD]

  映画は総合芸術であり心踊る娯楽です。またそのうちいろいろみましょう。ではでは。